仕事

経験年数があっても自分が理学療法士に向いていないと思う人は環境を変えてみよう

 前回、『自分は理学療法士に向いていないと思っている貴方へ』という記事を書きました。
 そこで『7年目を過ぎたあたりからは『向いてる』とか『向いてない』とか、そういう視点で『理学療法士の自分』を捉えることはなりました。』と書きましたが、7年目のときに私は転職をしています。
 転職することで何が変わったのか?

 この記事は5~6年程度と臨床経験がまずまずあるのに、自分は理学療法士に向いていないんじゃないかと思っている人向きです。

6年目で訪問リハビリテーション業務を担当

 私が病院勤務で一番長く経験したのが回復期病棟でした。なので1人の患者さんを短くて2か月程度、長くて6か月担当して、入院中はほぼ毎日同じ人の治療をしていました。

 私は元々人間関係が希薄です。みんなとわいわいするのも楽しいんですが、1人で好きなことに打ち込む方が好きなので、学生時代から広く浅い交友関係を築いてきました。

 そんな私が毎日同じ人と密な関係を築くことは正直大変でした。経験年数を重ねるうちに患者さんとの関係を築くコツみたいなものは掴んだ気がしますし、1~3年目の頃と比べると随分楽にはなりました。

 でも、依然として患者さんとの関係作りが自分には負担だったので、やっぱり理学療法士に向いてないのかなと思うことはしばしばありました。

 そんな折、退職する先輩の業務の引継ぎとして、病院で行っていた訪問リハビリテーション業務を週に2回担当することになりました。

週に1回しか会っていないのに関係良好!?

 先輩からの引継ぎも終わり、なんとかかんとか訪問リハビリテーション業務をこなしていました。

 その際に、他の先輩から「自分、○○さんと△△さんからめっちゃ気に入られてるな~」と言われました。

 その先輩は訪問リハビリテーション業務の管理者で、スタッフからの人望も厚いし、患者さんとの関係もいつも良好な先輩です。
 そんな先輩と2人の利用者さんを一緒に担当していたのですが、先輩が訪問すると私の話がよく出るとのことで、それが好意的な話のようだったんです。

 自分としては提供しているサービスは一緒とはいえ不慣れな業務だったのですごく意外でした。週1回の介入でそこまで良い関係を築けたことは嬉しく思いましたが、 たまたま馬が合ったんだなぐらいに思っていました。

訪問看護ステーションへ転職して気付いた自分の性分

 病院で訪問リハビリテーション業務を担当し始めた頃、私はすでに転職活動をしていて、理学療法士7年目のときに訪問看護ステーションに転職しました。

 訪問看護ステーションを選んだ理由は、退院していった患者さんの実際の生活を見てみたいと思ったからなんですが、これが思わぬ好結果に繋がりました。

 確実に仕事に対するストレスが減りました。

 私が今担当している利用者さんは24人で、書類作成の担当は17人分。
 病院勤務のときは入院担当が6~7人、外来担当が4~5人程度だったので、書類作成業務は訪問のほうがずっと多いです(入れ替わり頻度は病院の方が圧倒的に上ですが)。

 そして私が勤務しているステーションの移動手段は電動自転車なので、1回の移動で長いときは30分ほど自転車を漕ぐことがあります。
 雨の日も風の日も、熱中症に注意して不要な外出は控えましょうと言われる盛夏の日も、自転車を漕いで移動しています。
 体力的には病院で働いているときよりずっと大変です。

 それなのに仕事に対するストレスが減ったのは、私が得意とする患者さん・利用者さんとの距離感が週に1~3回の介入頻度だったからだと思います。広く浅い人間関係を築くことが好きな私は、入院患者さんと短期間集中で関係を築くことにストレスを感じていたんです。

 また訪問サービスでは病院と違って、移動ルートの調整上、担当を変更することがあります。そのときに一部の利用者さんから「この人がいい」「担当を変わってほしくない」と言ってもらえることがあります。

 業務上は困るのですが、本音を言えばそういってもらえるまでの良好な関係性を築けたことは本当に嬉しいことです。
 在宅分野に興味があって選んだ訪問サービスという業務体制が、幸いなことに自分の性分に合っていたんです。

理学療法士に向いていないのではなく、環境が合っていないのでは?

 理学療法士って給料はあんまり良くないし、体力仕事だからいつまで働けるのかも不安ですよね(実際は私はその不安があって、このブログをやっているわけですし)。

 でも私が理学療法士の仕事を11年間続けられているのは、やっぱり楽しいと思える一面があるからです。

 臨床経験が5~6年程度あるのに「向いていない」と思っている人は、理学療法士という仕事が『嫌い』なわけではないはずです。
 嫌いとは違いますが、専門学校の同級生に「これは自分のやりたいことじゃはなかった」と途中で退学した子がいましたし、前職の病院でも「本当は他にやりたいことがあった」と1年で辞めていく後輩もいました。
 そうはならずに仕事を続けられているということは、『嫌い』ではないのでしょう。その上でうまくいかないことが多いから「向いていない」と思っているんじゃないでしょうか。
 そして、そういう人は理学療法士に向いていないのではなく、環境が合っていないのではないでしょうか。
 
 私は環境を変えるために転職をしたわけではありませんが、幸いにも転職することで自分の性分にあった業務体制を知ることができました。

まとめ

 この記事では私の実体験を元に、 臨床経験がまずまずあるのに理学療法士に向いていないかもと思っている人は、環境が合っていない可能性がある、ということについて書きました。
 新しい環境に飛び込むことには勇気が要りますが、自分に合った環境で働けるとストレスがぐっと減りますし、仕事が楽しいと思える場面が増えますよ。