理学療法士で検索キーワードを調べると、『理学療法士 お礼』があったのでこの記事を書きました。
いただく立場でいうのは何ですが、もらって嬉しいものと困るものがあるのは事実です。
結論から言うと、もらって嬉しくてものは手紙です。
理学療法士へのお礼に関して、現役理学療法士が本音を書きます。
もくじ
まずお礼を言ってもらえること自体が嬉しい
私は理学療法士として働き始めて今年で12年目です。
今まで色んな患者さん、利用者さんに介入してきました。その中でお礼を言ってもらえることはたくさんあります(拒否されたことも多数ありますけど・・・)。
私は『お金を払ってるんだからその分のサービスは受けて当然』と考える傲慢な人間なので、お金を払ってリハビリをしているのに、「ありがとう」まで言ってもらえるなんて嬉しいと感じています。
偽善者かよ!と思われるかもしれませんけど、「ありがとう」って言ってもらえるときは、やっぱりこの仕事してて良かったな~と思う瞬間の一つです。
理学療法士がお礼としてもらって困るものはお金や高価なもの!
「ありがとう」だけでも嬉しいのに、さらにお金(または商品券)まで渡してくれる人がたくさんいます。
病院だとエレベーターや病棟のナースステーション前によく『心づけはお断りします』ってポスターが貼ってあるのを見たことがある人は多いと思います。
私が病院勤務だったときは、ポスターの貼ってあるまさにそこで「先生、これ・・・(小声)」って渡されたりしました。
「病院の決まりなので受け取れません」「もらったことがバレたらクビになります」と断っても「言わへんかったらバレへんやろ!」ってケーシのポケットにねじ込まれる流れがお約束みたいになってました。
さっきも書いたとおり、私は『お金を払ってるんだからその分のサービスは受けて当然』と考える人間なので、自分が提供しているサービス以上にお金を受け取ることは本当に心苦しいです。
でもPT1年目という早い時期に、私がお金を受け取ることを断りきれなくなってしまう出来事がありました。
今思い出しても、なんともいえない寂しい気持ちになります。
お金を受け取ることを断ったことで残念なお別れになってしまった患者さん
PT1年目なので、なんとかかんとか仕事になっているかなという時期でした。
入院中から担当して、退院後も外来でフォローしていた患者さんがいました。23歳の若造を先生、先生と立ててくれて、自主トレーニングを指導すると「しっかりやったらこんなに効果が出るのか」とこっちが感激するほど熱心にリハビリに取り組まれる患者さんでした。
そんな方だったので、私の拙いコミュニケーション能力でも、関係性は良好だったと思います。私自身も楽しく仕事ができていました。
日常生活もほぼ支障がなくなり、あとは自主トレーニングを継続してもらえれば大丈夫ですね、じゃあリハビリはもう卒業ですねとなり、最後のリハビリが終わったときです。
「先生、お世話になりました。ほんの気持ちです」と、見るからに商品券と分かる包みを笑顔で差し出されました。
私は「病院の決まりなので受け取れません。すみません」と断りました。
「気持ちなので」「受け取ってください」と言われても「決まりなので、すみません」と固辞していました。
やり取りを繰り返すうちに、患者さんの表情がどんどん硬くなり、最後には
「ここがリハビリ室だから受け取ってもらえないんですか!」
と泣きそうな顔をして言われました。
最初はごく普通のトーンで話していたのに、このときは近くのベッドにいる人にはしっかり聞こえるほどの声の大きさになっていました。
私はリハビリ室を出て、商品券を受け取りました。患者さんは再度お礼を言われた後、受付に向かわれました。泣きそうな顔のままでした。
仕事が終わったあと、包みを開けると一万円分の商品券が入っていました。
今まであんなにいい関係だったのに、一万円のためだけにあんなお別れになったしまったのか。
これ以来、私は基本的にお金を断れなくなりました。多分これが一番最初に患者さんからお礼を渡されたときです。
高価なお礼の品物は関係性を壊す可能性がある
もっと上手な断り方もあったんでしょうけれど、理学療法士、というか社会人1年目の私にはできませんでした。
その後、もう一度お礼を断ったことがあります。そのときはウイ・ヴィトンの財布でした。
入院中の患者さんに「本物かどうか分からないですよ」といたずら顔で言われながら渡され、何かなと思ったらそんな高価なもの。
このときもどうするか悩みました。でもさすがにこんな高価なものは受け取れないと思い、次の日の仕事終わりに返しに行きました。
「一度受け取ってしまいましたが、こんな高価なものはやっぱりいただけません。お気持ちだけ有難くちょうだいします。すみません」と返すと、「かえって気を使わせましたね。こっちこそごめんなさいね」って悲しそうな顔で言われて・・・。
もうね・・・。
このときはPT5年目でちょっとは辛酸を舐めてましたし、まだ入院中の患者さんだったので退院までには何とか関係性はリカバリーできました。
でもまたあんなことになってしまうんじゃないかと内心はヒヤヒヤでした。
もうほんと、高価なお礼の品物は心臓に悪いんで止めてください。お願いします。
どうしてもお礼がしたいときは手紙が嬉しい!
本当にお礼は「ありがとう」だけで十分なんです。
でももし、それだけじゃ足りない!絶対になにかお礼の品を渡したいんだ!と思われたときは、手紙が素直に嬉しいです。
手紙を書くのって結構手間だと思うんですよ。文章考えて、便箋選んで、下書きして、清書して、書き間違えたら一から書き直しで。
手紙をもらうと、そんな手間なことをしてまで気持ちを伝えたいって思ってもらえたんだなと分かるので、それだけでもう十分嬉しいんです。あとどんなことが心に残ったのかが分かると、今後の治療の参考にもなるので、そこも有難いです。
何より、仕事で凹んだときとか失敗したとき、いただいた手紙を読み返すと気持ちが落ち着きます(笑)
特に経験年数の浅い頃なんかは、いただいた手紙に何度救われたことか・・・。
お礼の手紙には1人の理学療法士を励ましたり、明日もとりあえず出勤しようと思わせる力がありますよ!
まとめ
この記事では理学療法士へのお礼は「ありがとう」で十分、でもどうしても何か渡したいと思ったときは手紙が嬉しい、という私の率直な思いを書きました。
高価な品物はかえって関係を壊してしまうこともあるので、できれば止めていただけたらなあと思います。